メルカリで安く入手したので「サラバ!」を上・中・下、読んだ。西加奈子さんの作品は初めて。
物語のスケールが大きく、それでいて緻密。テーマも重層的でグイグイ読める本だった。
最後は全てハッピーエンドに収束していくし、迫力のある、面白い作品だと思うけど、幼少期の主人公の家族の話は私自身の家族のエピソードを強制的に思い出させられてちょっときつかったし、「いい子」に見られようとする少年時代の主人公、大人になってからだんだん思考が頑なになっていく感じ、何かにしがみつこうとする生き方には、同じく色々連想させられて辛い部分があった。
つまり私は、自分自身が抱えてきた様々な問題課題を、まだ乗り越えてないのだと思う。
けど乗り越えたくもなければ向き合いたくもないものだってあるのが正直なところ。
先に「グイグイ読める本」と述べたが、そんな意味もあって私にとってはどちらかと言うと「グイグイ読ませられてしまった、読まずにはいられなかった本」だと言えるかもしれない。
人生の中で、自分自身を自分たらしめるもの、つまり、自分の幹とか、信じられるもの(と作品中表現されるもの)を見出すのはとても難しいことだと思う。けれどどこかのタイミングで必要なこと。
私の中にそれはあるか?
と聞かれればすぐに出ない。
言語化できることが全てではないと思うけど、問い続けることは、人生の中で大事な事かもしれないですね。